「変成男子(へんじょうなんし)」という言葉の意味を知りたい方へ。
かつて、女性が悟りを開くためには、一度男性に生まれ変わらなくてはならないと考えられていました。悟りを開くため、女性から一旦男性に生まれ変わった人々のことを、「変成男子」と呼びます。
本記事では、その謎を解く鍵となる言葉「変成男子」についてご紹介いたします。
かつて女性は悟りを開けないといわれていた
仏教においては、女性は女性のままでは仏や菩薩になれない、つまり悟りを開くことができないといわれていました。女性が悟りを開くには、男性に生まれ変わらなくてはならないと考えられていたのです。そういった、女性から男性に生まれ変わる者のことを「変成男子」と呼びました。
女性は悟れないというのは非常に時代錯誤な考え方に思えますが、古代においては女性が社会的存在ではなかったこと、そして生物学的な知識が今より乏しかったことを考えると、致し方ないといえるかもしれません。
「では、女性のままでは今生では悟れないの?」と不安に思う女性も多いでしょうが、聖書や経典は寓意や暗喩が非常に多いので、書かれていることを文字通りに解釈してしまうと、誤読してしまうことになりかねません。
聖書外典にも出てくる「変成男子」
また、古代において神の声を聞くシャーマン(巫女)の役割は、主に女性が務めていました。沖縄の「ユタ」と呼ばれるシャーマンも、多くが女性です。
地方の民話には鬼が出てくる話がよくありますが、男性の鬼は数が少なく、そのほとんどが女性だといわれています。
おそらく女性が持っている、子を産み増やすことができる力、そしてシャーマンの役目を担う神がかりの力に対して、古代人は強い恐れを抱き、男性の方が上だと決めつけて、ことさら蔑視した部分があるのではないでしょうか。
あるいは、性欲は修行の妨げになりますから、性欲を掻き立てる女性をことさら悪魔視した部分もあるのかもしれません。
気功には「男周り」「女周り」がある
気功の「周天法」には、「男周り」「女周り」というものがあります。
経絡と呼ばれる血管のようなものに、気のエネルギーを流して全身を巡らせる方法を周天法と呼び、全身の経絡の通りがよくなってエネルギーの道が開くと「大周天」、いわゆる悟りを開くことができるといわれています。
この時、「頭→のど→胸→みぞおち→お腹→会陰」と身体の全面に気を下ろした後、「仙骨→背中→首の後ろ→後頭部」と上げていく方法を男周りと呼びます。
女周りは男周りの逆で、「会陰→お腹→みぞおち→胸→のど→頭」と身体の前面を、下から上へと気を巡らせた後、「後頭部→首の後ろ→背中→仙骨」へと降ろしていく方法です。
男周りの方向に気を巡らせるのが安全
男性は男周り、女性は女周りで経絡が通る場合が多いと言われていますが、全員に当てはまるわけではありません。一般的に「男周り」の方が、偏差などの精神面・肉体面での弊害が出にくいので、周天法を行う場合は、男周りの方向に気を巡らせるのが安全といわれています。
女周りに気を巡らせてしまうと、自律神経失調症のような症状が
逆に、女周りに気を巡らせてしまうと、自律神経失調症のような症状が出たり、精神的に不安定になり、幻覚や幻聴・耳鳴りなどの症状が出ることがあります(個人差があるので、全員に症状が出るわけではありません)このような症状は、禅病、魔境、クンダリニー症候群などと呼ばれています。一般的に、男性よりも女性の方が、この種の症状が出やすいといわれています。
変成男子は周天法で男周りに気を回した女性?
「変成男子」というのは、もしかしたら、この周天法で、男周りに気を回した女性のことを呼ぶのかもしれません。
そして、男周りに気を回すために必要なのは、内観と内省です。男性的な社会性や論理性、精神世界に対する智慧を身に着け、今までの人生について正しく洞察、懺悔することができれば、女性でも男周りに気を回すことができます。