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仏教のヴィパッサナー瞑想とは?やり方・コツ・効果・種類・危険性

目をつぶる女性 瞑想ヴィパッサナー瞑想について、詳しく知りたい方へ。

近頃は、瞑想の効果が広く知られるようになり、海外では瞑想を社員教育の一環として取り入れている会社も多いといいます。とはいえ、瞑想の具体的なやり方が分からない人も、多いのではないでしょうか。

本記事では、瞑想の方法の一つ「ヴィパッサナー瞑想」について解説していきます。

ヴィパッサナー瞑想は代表的な瞑想の一つ

瞑想には様々なやり方がありますが、大まかに分けると、サマタ瞑想、そしてヴィパッサナー瞑想の二つに分けられます。悟りを得るには、どちらか片方だけではなく、両方の瞑想修行をしなくてはならないとされています。

サマタ瞑想とは

サマタ瞑想は「止(し)瞑想」とも呼ばれ、主に、呼吸や心臓の動きなどに集中し、思考を止める瞑想法です。普通の人が「瞑想」という言葉を聞いて思い浮かべるのは、おそらくこのサマタ瞑想の方でしょう。

https://spiritual-media.pink/samatha-meiso/ 

そして、ヴィパッサナー瞑想は「観(かん)瞑想」と呼ばれます。観(み)る瞑想とは、一体どんなものなのでしょうか。一緒に学んでいきましょう。

ヴィパッサナー瞑想は観察する瞑想

ヴィパッサナー瞑想は、「観瞑想」という呼び名が表すように、主に自分の心の動きを観察する瞑想です。「ヴィパッサナー」とは、パーリ語で「分けて見る」「正しく見る」という意味です。正しく見るとは、どういうことでしょうか。

ヴィパッサナー=正しく見る とは

私たち普通の人間は、物事をありのままに見ているわけではありません。たいていの場合、大人になるまでの間に、親や学校、社会などから植えつけられた観念や想念、常識にもとづいた物の見方を、無意識のうちにしてしまっているのです。たとえていうなら、歪んだレンズを通して物を見ているようなものです。

ヴィパッサナー瞑想は、こういった観念や想念、常識にとらわれた物の見方を脱し、物事を正しく見るための瞑想なのです。

ヴィパッサナー瞑想のやり方、コツ

ここでは、ヴィパッサナー瞑想のやり方を詳しく解説していきます。

①瞑想中の自分を観察する

  • まずは、邪魔が入らない静かなところで、入念に柔軟体操とストレッチを行ってください。手首や足首、首などをよく回し、血や気の巡りをよくしておくといいでしょう。
  • 準備運動が終わったら、座って目を閉じて下さい。座る姿勢は、結跏趺坐(けっかふざ)が望ましいとされていますが、難しい場合は、半跏趺坐(はんかふざ)、もしくはあぐらなどの姿勢で構いません。
  • 最初は、瞑想している自分を観察することから始めましょう。「自分は今、リラックスしているな」「イライラしているな」「身体のこの辺りに力が入っているな」と、他人を観察する時のような感覚で、ひたすら自分の気持ちや身体の状態を実況中継するのです。 

仮に、その日、何か嫌なことがあってイライラしていたとしても、ヴィパッサナー瞑想の最中は、その気持ちに飲み込まれないよう距離を取って下さい。

②歩いている時の自分を観察する

瞑想中の観察に慣れてきたら、今度は、外を歩いている最中に自分の心の観察を行ってみましょう

外を歩いている時は、瞑想中とは比較にならないほど多くの人、物、音の存在が感じられます。その中には、見て・聞いていて気持ちいいものもあれば、不快なものもあるでしょう。それを見ている時、聞いている時もその感情に飲み込まれず、「私は今、心地いいんだな」「私は不快に思っているんだな」と、自分の気持ちと距離を取って観察してみてください。

注意点としては、「常識外れの人を見たんだから、不快な気持ちになって当然だ」などと、常識に照らし合わせて考えないこと

 常識は偏見のコレクション

「常識とは、十八才までに身に着けた偏見のコレクションのことをいう」というアインシュタインの言葉もあります。常識にとらわれないよう、ありのままに物事を見る練習をしましょう。

③自分の心の中にある観念を探す

外を歩いている最中に、心地よいもの、もしくは不快なものを見つけたら、チャンスです。「なぜ、それを見た時に心地よくなるのだろう?」あるいは「不快になるのだろう?」と考えてみて下さい。

たとえば混雑の中、子供の泣き声を聞くとイラ立ちを抑えられない人もいれば、「子供は泣くのが仕事」と、さほど気にしない人もいます。 

一般的に、心の中に「〇〇してはいけない」「〇〇しなくてはならない」といった観念を強く持っている人ほど、他者に非寛容になりがちです。何かを見て大きく感情を揺さぶられた時は、自分が持っている観念に気付くチャンスですから、どんどん観察してみましょう。 

もしすぐに答えが出ない場合、「今の出来事にこんなに腹が立ったのはどうして?」と心の中で尋ねてからしばらく放っておくと、ふと答えが思い浮かぶことがあります。

④過去の自分を観察する

観察に慣れてきたら、今度は、過去の自分を観察してみましょう。

できれば、後悔している出来事や、未だに納得していない出来事、忘れてしまいたい出来事などがいいでしょう。

学生時代のクラスメートに嫌なことを言われた、人前で失敗してしまった、友達を傷つけてしまった……その出来事を思い出し、「あの時の判断は、本当に正しかったんだろうか?」「もっと、別の見方ができるんじゃないだろうか」と、複数のカメラから物を見るように振り返るのです。 

その際、できれば「私は絶対に間違っていなかったはずだ!」と自己正当化してしまっていた出来事ほど、しっかりと別の視点から観察してみてください

真実が隠れている

自分が目をそらしたいことの裏側にこそ、真実が隠れているものです。自分の心の弱さや醜さを直視するのはつらいことですが、ありのままの自分ときちんと向き合うことこそが、ヴィパッサナー瞑想で求められることなのです。

ヴィパッサナー瞑想は人生を好転させてくれる

自分の弱さや心の問題と向き合うヴィパッサナー瞑想をしていると、時として、つらさに耐えられなくなる時があります。特に、今までずっと見て見ぬふりをしてきた心の傷に触れた時は、大の大人でも涙が止まらなくなるほどです。

けれど、自分の心を容赦なく観察し、心の偏りや問題点をえぐり出すからこそ、精神的に成長することができ、人生を好転させることができるのです。

同じ失敗を繰り返してきた人には効果的

特に、人生において何度も似た状況に直面させられてきた、同じ失敗を繰り返してきたという人にとって、ヴィパッサナー瞑想の効果ははかり知れません。コツコツと観察を続けているうちに、あなたは想像もしていなかったところに辿り着いていることでしょう。

ヴィパッサナー瞑想をする時の注意点

ヴィパッサナー瞑想を行う際には、いくつか注意点があります。

①他人に批判の矛先を向けない

一つめは、他人に対して、決して批判の矛先を向けてはいけないということです。観察するのは、あくまでも他人ではなく自分の内面だということを忘れないで下さい。

ヴィパッサナー瞑想をする目的は自分の歪んだ視点を正すことであり、他人を咎めることではないのです。宗教の戒律や精神世界のルールというのは、あくまでも自分の心を律するためにあるということを心に留めておきましょう。

②長時間の瞑想は控える

ヴィパッサナー瞑想を長時間続けていると、思考が堂々巡りになったり、集中力がとぎれて意識が散漫になり始めます。長時間ダラダラ続けずに、30分程度で切り上げるようにしましょう。

③精神世界にのめり込みすぎない

精神世界やスピリチュアルなことにのめり込みすぎると、日常生活が疎かになりがちです。人によっては、精神世界に興味を持たない人たちや現実世界を見下し始めることも……。

目的は、あくまでも自分の心や人生を豊かにすること

ヴィパッサナー瞑想を始める目的は、あくまでも自分の心や人生を豊かにすることのはずです。それなのに、世の中の普通の人たちを見下すようになってしまっては、ヴィパッサナー瞑想をする前よりも生きにくくなってしまい、本末転倒となってしまいます。精神世界と現実世界のバランスをきちんと取ることを忘れないようにしましょう。

 

最後に

ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
ヴィパッサナー瞑想について、少しでも理解する助けになったでしょうか?サマタ瞑想に比べるとあまり知られていませんが、ヴィパッサナー瞑想を習慣にすると、精神的にどんどん成長することができます。まずは、110分の瞑想から始めてみてはいかがでしょうか。

仏教のヴィパッサナー瞑想の要点は

  • ヴィパッサナー瞑想は代表的な瞑想の一つ
  • ヴィパッサナー瞑想は観察する瞑想
  • ヴィパッサナー瞑想のやり方、コツ
    ①瞑想中の自分を観察する
    ②歩いている時の自分を観察する
    ③自分の心の中にある観念を探す
    ④過去の自分を観察する
  • ヴィパッサナー瞑想は人生を好転させてくれる
  • ヴィパッサナー瞑想をする時の注意点
    ①他人に批判の矛先を向けない
    ②長時間の瞑想は控える
    ③精神世界にのめり込みすぎない

ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。