サマタ瞑想について、詳しく知りたい方へ。
「毎日数分間瞑想すると、脳がリラックスする」「集中力が増す」「睡眠の質が向上する」という話を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。これらは、サマタ瞑想をした時に得られる効果です。「ただ座って呼吸するだけで本当にそんな効果があるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
本記事では、サマタ瞑想とは何か?やり方・コツ・効果・種類・危険性などを解説します。
サマタ瞑想は代表的な瞑想の一つ
瞑想には様々な方法がありますが、大きく分けると、「サマタ瞑想」そして「ヴィパッサナー瞑想」の二つに分けられます。
サマタ瞑想は「止瞑想」
「サマタ瞑想」は「止(し)瞑想」とも呼ばれており、自分の呼吸や心臓の動きなどに集中することで、思考を「止める」瞑想です。たいていの人が「瞑想」という言葉を聞いて連想するのは、このサマタ瞑想の方でしょう。
ヴィパッサナー瞑想は「観瞑想」
もうひとつの「ヴィパッサナー瞑想」は「観(かん)瞑想」と呼ばれます。無意識のうちに揺れ動く自分の思考や感情を、細かく「観察する」瞑想です。
どちらにもそれぞれ違う効果がありますが、精神的な成長や人生の改善を目指すには、サマタ瞑想のみ、ヴィパッサナー瞑想のみではなく、両方の瞑想をバランスよく行うことが大切です。
サマタ瞑想は思考を止める瞑想
サマタ瞑想は、思考を止めることで一つのものに集中する瞑想です。サマタ、もしくはシャマタという言葉には、パーリ語で「心を落ち着かせる」という意味があります。
普通の人は、なかなか長時間一つのことに集中し続けることができず、注意散漫になりがちです。サマタ瞑想をすることで、集中力を養う訓練ができるというわけです。
サマタ瞑想のやり方・コツ
ここではサマタ瞑想のやり方やコツを解説いたします。
①坐禅を組む
基本的なサマタ瞑想のやり方は、以下の通りです。
- ①静かで集中できる場所を選びます。自分の部屋などで、眠る前に行うのがいいでしょう。
- ②軽いストレッチと柔軟体操をして、身体をほぐします。
- ③背筋をまっすぐにして座ります。座り方は結跏趺坐(けっかふざ)がいいですが、難しい場合は半跏趺坐(はんかふざ)、もしくはあぐらなどでも構いません
- ④目を閉じるか半眼の状態で、息をゆっくり吐き出します。8秒ほどかけて、身体の中の汚れをすべて吐き出すイメージで行います。息を吸う時は、4秒ほどかけて吸って下さい。
- ⑤できるだけゆっくり、呼吸を繰り返します。もし途中で雑念が浮かんできても、気にせず呼吸に集中して下さい。
- ⑥15~30分ほどで終えて下さい。
最初のうちはあまり効果を感じられないかもしれませんが、何日も続けているうちに、少しずつ深い瞑想に入れるようになっていきます。
②マントラを唱える
「マントラ」とは、密教などで使用される呪文のような言葉のことです。マントラをひたすら唱え続けるのも、サマタ瞑想の一種といえます。1時間半~2時間をめどに繰り返し唱えると、瞑想状態に入れるでしょう。特に準備などはしなくてもよく、目を閉じる必要もありません。
唱えるマントラは、唱えやすいものや直感でピンとくるマントラで構いませんが、せっかくですから縁起がいいマントラがいいですよね。いくつか紹介しておきます。
マントラ
- オン ベイシラ マンダヤ ソワカ
(毘沙門天のマントラ。勝負事に利益があるといわれています) - オン マカ キャラヤ ソワカ
(大黒天のマントラ。商売繁盛や金運アップに効果があるといわれています) - オン ソラソバティ ソワカ
(弁財天のマントラ。芸術的な才能開花や話術アップなどの効果があります) - オン インダラヤ ソワカ
(雷帝インドラのマントラ。恋愛成就などの効果があります)
③ロウソクの炎を見つめる
ロウソクの炎などをじっと見つめるトラタカと呼ばれる行法も、サマタ瞑想の一種です。曼荼羅(まんだら)と呼ばれる図形や絵、紙に描いた点などで代用しても構いません。以下に、手順を紹介します。
- 火をともしたロウソクを、台の上などに置きます。火の扱いにはくれぐれも気を付けて下さい。
- 1~1.5メートルほど離れた場所に座ります。火の高さと目線の高さが同じになるようにして下さい。
- まばたきをせずに、じっと炎を見つめて下さい。慣れないうちは、目が痛くなった時点で目を閉じ、普通の瞑想に切り替えて構いません。
- 30分前後をめどに、瞑想を続けて下さい。
第三の目と呼ばれるアジナー・チャクラを活性化させる作用
この技法は、第三の目と呼ばれるアジナー・チャクラを活性化させる作用があると伝えられています。ですが、アジナー・チャクラを正常に作用させるためには、二極性を超えた物の見方ができるようになっていなくてはなりません。開発は慎重に行うようにしましょう。
サマタ瞑想にはリラックス効果がある
サマタ瞑想を続けていると、集中力や注意力が高まり、寝つきがよくなるなどの効果があります。サマタ瞑想を終えると、心なしか気分がすっきりしているのを自覚することもあるでしょう。
ポジティブで前向きな考え方ができるようになる
また、サマタ瞑想をすることで、緊張や不安を緩和してくれる副交感神経が優位になり、ポジティブで前向きな考え方ができるようになります。自分の心や身体ときちんと向き合うサマタ瞑想は、忙しい現代生活を乗り切るためにうってつけの習慣といえるでしょう(効果には個人差があります)
サマタ瞑想の危険性
瞑想には危険が付きものです。ここではサマタ瞑想の危険性についてお伝えします。
①長時間の瞑想は危険
サマタ瞑想には様々な効用がありますが、同じ姿勢で長時間瞑想を続けると、足の血行が悪くなり、しびれたり鬱血してしまうことがあります。
座り仕事の人が腰を痛めやすいように、長時間同じ姿勢を保つことは、身体に悪い影響を及ぼします。サマタ瞑想をする時は、長くても45分程度までにとどめておきましょう。
②精神的に不安定な時は行わない
精神疾患の人、精神的に不安定な人は、サマタ瞑想を行わないようにしましょう。サマタ瞑想にはリラックス効果がありますが、精神的に不安定な時期に行うのは逆効果です。幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたり、妄想などの症状が出ることがありますので、病気が寛解してから行うようにしましょう。
③サマタ瞑想中の出来事にとらわれすぎない
サマタ瞑想を行っている最中、人によっては光が見えたり、幻聴が聞こえたりすることがあります。神秘的な体験をすると、どうしてもその体験にとらわれてしまいがちですが、あまりのめり込まないようにして下さい。
深いサマタ瞑想に入っている時というのは、意識を保ちながら夢を見ているような状態なのです。夢の中で起きる出来事は、予知夢などもありますが、荒唐無稽な出来事がほとんどです。ですので、たとえ瞑想中に神の姿が見えたり、声が聞こえたとしても、盲信しないように注意してください。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
サマタ瞑想について、少しでも理解することができたでしょうか?1日10分から始められるサマタ瞑想には、リラックスや集中力アップなど、うれしい効果がたくさんありますが、瞑想の仕方次第では精神面で悪影響が出ることもあります。サマタ瞑想をうまく生活に取り入れ、ぜひ、人生に役立てて下さいね。
仏教のサマタ瞑想とは…
- サマタ瞑想は代表的な瞑想の一つ
- サマタ瞑想は思考を止める瞑想
- サマタ瞑想のやり方・コツ
①坐禅を組む
②マントラを唱える
③ロウソクの炎を見つめる - サマタ瞑想にはリラックス効果がある
- サマタ瞑想の危険性
①長時間の瞑想は危険
②精神的に不安定な時は行わない
③サマタ瞑想中の出来事にとらわれすぎない
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。