七福神の一柱「福禄寿」について知りたい方へ。
長い頭に福耳を持ち、白いヒゲを生やしている、いかにも仙人といった風貌の福禄寿。千歳を数えるという福禄寿は、祈った人にも長寿を約束してくれるといいます。
本記事では、福禄寿とはどんな神様か?分かりやすく解説します。
福禄寿は道教の神様
福禄寿はもともと、中国で信仰されていた道教の神様の一人です。名前の由来は、中国人が願う三つの幸せ「幸福」「封禄」「長寿」から取られており、福禄寿は、この三つの幸せをすべて手に入れたと考えられています。
幸福=実子に恵まれること
幸福にも色々と種類がありますが、中国人が考える幸福とは、血がつながった実の子に恵まれること、つまり子孫繁栄です。中国人は現代でも、家族が第一の家族主義です。
封禄=財産を築くこと
封禄とは、財産のことです。現代でも、華僑は商売上手といわれます。財産を築くことは、中国人だけでなく、世界の多くの人の願いでもあります。
長寿=健康で長生きをすること
長寿とは、もちろん健康で長生きをすることです。たとえ長生きをしても、病気がちだったり寝たきりになってしまったら、それはおめでたいこととは見なされません。
福禄寿の見分け方は「長い頭」に「白いヒゲ」「福耳」
背丈が低く、長いハゲ頭に白いヒゲ、そして福耳が、福禄寿の目印です。また、お経の巻物を結んだ杖を持ち、鶴や亀をお供に連れている姿で描かれることが多いです。鶴と亀は「鶴は千年、亀は万年」と言われるように長寿の象徴です。
知恵がある者こそ謙虚であるべき
福禄寿の頭が長く描かれる理由は、長い人生で培った知恵を表しているといわれています。と同時に、知恵がある者ほど重い頭を下げるべき(謙虚であるべき)という意図があるようです。たとえ長生きをしても、傲慢な態度のせいで周囲から煙たがられてしまったら、いい人生とはいえませんよね。長生きをするのなら、謙虚な人格を身に付けなくてはなりません。
福禄寿は長寿や健康、安産などのご利益がある
福禄寿は、千年以上生きているほどの長寿だと言われているため、長生きや健康に関するご利益があります。また、子孫に恵まれていることから、縁結びや安産のご利益もあります。財産を築いているため、金運アップの効果も望めるでしょう。
人徳も備えてくれる
「福」「禄」「寿」を手に入れ、人生の成功を収めた人は、その成功にふさわしい知恵や人徳を備えているものです。そして、知恵や人徳が備わった人の近くには、同じように優れた人徳を持つ人が集まってきます。ですので、自然と対人運もアップします。
福禄寿の真言は「ウン・ヌン・シキ・ソワカ」
福禄寿の真言は、「ウン・ヌン・シキ・ソワカ」、もしくは「オン・マカシリ・ソワカ」です。福禄寿を祀っているお寺や神社で唱えるのがいいでしょう。
真言の回数は指定に従う
お寺や神社で、真言を唱える回数を指定されている場合は、その指定に従いましょう。指定がない場合は、気が済むまで唱えても構いません。
福禄寿に関する逸話
①南極星の化身
福禄寿は、南極星の化身だといわれています。南極星とは、夜空で、シリウスに次いで明るく輝く、竜骨座のカノープスと呼ばれる星です。
おめでたい星だと考えられていた
南極星は、中国からは肉眼でめったに見えない星であるため、おめでたい星だと考えられていました。南極星は人の寿命を司り、富や幸運を授けてくれる星だと信じられていたのです。
②宋代の道士という説がある
福禄寿のモデルとなった人物は、中国・宋の時代(960~1279)の実在の道士だったという説があります。
占いをして稼いでいた道士
背が小さく、頭の長いその道士は、都で占いをしてお金を稼いでいました。そして、稼いだお金でお酒を飲んで酔っ払っては、「我こそは、寿を与える聖人なり」とうそぶいていたそうです。
黄河が澄んだところを見たことがある
道士の噂を耳にした皇帝は、道士を宮廷へと呼びつけました。そして、道士の年齢を尋ねると、道士は「私は、黄河の水が澄んだところを何度か見たことがある」と答えたそうです。
千年に一度だけ川の水が澄むといわれている
黄河の水は常に濁っていますが、千年に一度だけ川の水が澄むと伝えられていました。もし道士の言葉が本当なら、道士は数千年は生きているということになります。
姿を消してしまった
皇帝が道士の言葉に驚いていると、道士は、いつの間にか宮廷から姿を消してしまいました。
③泰山府君(たいざんふくん)と同一人物説もある
泰山府君とは、人間の寿命や魂を司る神だといわれており、福禄寿と同一人物だとされています。泰山とは、中国に実在する山の名前で、道教の聖地でもあります。
泰山府君は陰陽道の主祭神
泰山府君は陰陽道の主祭神とされています。陰陽師として有名な安倍晴明は、天皇の長寿を願い、泰山府君祭を始めたといわれています。
寿老人と同一の神という説もある
福禄寿と同じく七福神に数えられている寿老人は、実は、福禄寿と同一の神ではないか、という説があります。どちらも老人の姿をしており、共に南極星の化身とされています。同じ神が別々の神として数えられているのは不思議な気がしますが、日本人の道教や中国文化に対する憧れが、それだけ強かったということかもしれません。
福禄寿に会える有名なお寺と神社
最後に
福禄寿について、少しでも理解を深めることができたでしょうか?福禄寿にあやかり、「福」「禄」「寿」を手に入れて充実した人生を送りたいものですね。
七福神の福禄寿は
- 福禄寿は道教の神様
- 福禄寿の目印は長い頭に白いヒゲ、福耳
- 福禄寿は長寿や健康、安産などのご利益がある
- 福禄寿の真言は「ウン・ヌン・シキ・ソワカ」
- 寿老人と同一の神という説もある
ということでした。以上、最後までご覧頂き、有難うございました。