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キリスト教のペンテコステとは?その意味を分かりやすく解説

聖霊降臨を描いた15世紀の写本

聖霊降臨を描いた15世紀の写本

「ペンテコステ」という言葉の意味を知りたい方へ。

キリスト教に関わりがある人の中には、「ペンテコステ」という言葉を聞いたことがある人も少なくないと思います。ですが、詳しい意味は知らない人も多いのではないでしょうか。

西洋では、クリスマスや復活祭に並ぶ記念日とされている「ペンテコステ」の意味を、本記事でご紹介いたします。

①ペンテコステとはギリシア語で「50」の意味

「ペンテコステ」は、聖霊降臨の日と呼ばれています。「ペンテコステ」とはギリシア語で「50」という意味で、イエスが処刑された過越(すぎこし)の祭りの日から50日目にあたるため、こう呼ばれています。

②ペンテコステは聖霊降臨の日

イエスは十字架にかけられて処刑され、3日後に復活したと伝えられています。その後、弟子たちとしばらく共に過ごした後、「近いうちに聖霊が降る」と言い残し、再び天へと召されました。

そして、イエスが再び天に召されてから10日後、ユダヤ教の五旬節の日のことです。イエスの母・聖母マリアやイエスの兄弟たち、イエスに従った女性たちが集まって祈りをささげていると、突然、激しい風の音が聞こえてきて、天から炎のような舌が降りてきたといいます。

やがて、その場に集まっていた弟子たちの身体は聖霊に満たされ、その後、様々な国の言葉で語り始めたといいます。自分が生まれた国や地方の言葉ではない、それまで聞いたこともないような国の言葉で話し始めた者もいました。

③聖霊とは神が使う見えない力

ところで、ペンテコステの日に降りてきた「聖霊」とは何でしょうか。

「聖霊」とは、神がこの世に影響を及ぼす時に使う見えない力と解釈されています。神には実体がなく、神自身がこの世に干渉することはできないため、聖霊を使うのです。

一例として、聖母マリアは、夫であるヨセフと契りを結ぶことなくイエスを身ごもったといわれていますが、その時に聖母マリアを妊娠させたのが聖霊だといわれています。

④ペンテコステの日に神から布教の許しが出た

イエスの弟子たちの元に聖霊が降りたということは、弟子たちは今までのようにイエスの教えをただ受ける立場ではなく、イエスの教えを布教する立場になったということ。そして、神から聖霊を通じて布教の許可が出たということです。

弟子たちにも真実を見極める目が備わった

イエスの教えを布教するためには、イエスが言っていたことをただ繰り返すのではなく、正しい教えとそうでない教えを見分ける目がなくてはなりません。神から布教の許可が出たということは、弟子たちにも真実を見極める目が備わったということなのです。

世界中を旅してキリスト教の布教を始めなさい

そして、皆が異国の言葉を話すようになったということは、「世界中を旅してキリスト教の布教を始めなさい」という神の命令が下ったことの寓意と解釈するのが妥当でしょう。ですからペンテコステの日を教会誕生の日と解釈することがあります。

⑤ペンテコステの日に弟子たちは神の存在を認識した

また、それまで弟子たちは、直接神や聖霊を認識することはできず、イエスの教えを聞くだけの立場だったのですが、ペンテコステの日に初めて、聖霊の存在を認識できるようになったのです。つまり、神や聖霊の存在を直接感じることができたということです。

つまり、イエスのように神の子として生を受けたわけではない、ただの人間であっても、いつか神や聖霊の存在を認識することができるかもしれないということです。

⑥志半ばで命を落としても誰かが遺志を継いでくれる

また、ペンテコステの日の逸話は、もう一つ違う解釈をすることができます。

キリスト教はユダヤ教の一派ではなく世界宗教へ

イエスはユダヤ教を批判し、正しい神の教えを説いて回りましたが、志半ばで命を絶たれ、天に召されることになりました。けれどその後、使徒たちがイエスの遺志を継ぎ、やがてキリスト教はユダヤ教の一派ではなく世界宗教となりました。

正しいことであれば、誰かが必ず遺志を継いでくれる

つまり、目的を遂げることなく命を落としてしまったとしても、しようとしたことが正しいことであれば、誰かが必ず遺志を継いでくれるということです。それは、生涯かけても叶えられるかどうかわからないような大きな目標や夢を持っている人にとっては、とても心強いことなのではないでしょうか。

⑦ペンテコステの日を境にキリスト教が広まった

「ペンテコステの日」以降、使徒たちは世界各国でイエスの教えを説いて回ることになりました。中には迫害を受けたり、布教の最中に命を落とす使徒もいたことでしょう。

ですが、彼らの布教によってキリスト教は世界中に広まりました。弊害はもちろんあったでしょうが、心のやすらぎや倫理など、キリスト教に触れたことによって救われた人も数多くいたはずです。

「この役割は自分の天命である」という強い信念

イエスの弟子たちが命をかけてキリスト教を広めた背景には、「この役割は自分の天命である」という強い信念があったに違いありません。もしかすると、いつか私たちの身にも聖霊が降りてきて、天命を知らされることがあるかもしれませんね。

最後に

「ペンテコステ」という言葉は、私たち日本人にとっては耳慣れない言葉ですが、この日を境に、使徒たちは命をかけてイエスの教えを世界中に広める決意をしました。その決意の裏側には、聖霊が降りたという象徴的なエピソードがあったことを知っていると、聖書の読み方も少し変わるかもしれませんね。

キリスト教のペンテコステの要点は…

  • ①ペンテコステとはギリシア語で「50」の意味
  • ②ペンテコステは聖霊降臨の日
  • ③聖霊とは神が使う見えない力
  • ④ペンテコステの日に神から布教の許しが出た
  • ⑤ペンテコステの日に弟子たちは神の存在を認識した
  • ⑥志半ばで命を落としても誰かが遺志を継いでくれる
  • ⑦ペンテコステの日を境にキリスト教が広まった

ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。