「七福神」について知りたい方へ。
お正月の縁起物などで、宝船に乗っている七福神の絵を見たことがある人は、多いのではないでしょうか。様々な利益をもたらしてくれるという七福神。一体、どんな神様がいるのでしょう?
本記事では、七福神とは何か?その意味・名前・ご利益・見分け方などを解説します。
七福神とは
七福神とは、人々に福をもたらすといわれている
- 「恵比寿(えびす)」
- 「大黒天(だいこくてん)」
- 「毘沙門天(びしゃもんてん)」
- 「弁才天(べんざいてん)」
- 「福禄寿(ふくろくじゅ)」
- 「寿老人(じゅろうじん)」
- 「布袋(ほてい)」
の七柱の神様をまとめて呼ぶ時の呼び名です。
恵比寿以外は外国の神様
七福神の中では、恵比寿だけが日本独自の神様で、他の神々は、ヒンドゥー教、道教、禅宗など、外国の宗教から取り入れられた神様です。
七福神の歴史
七福神が祀られるようになったのは、室町時代末期といわれています。中国から入ってきた『竹林七賢図』という水墨画の影響を受け、七柱の神様を一枚の絵に描くという題材が流行しました。ですが当時はまだ七福神の顔ぶれが決まっておらず、描かれる神々は作者によって違ったようです。
七福神は江戸時代に広まった
太平の世となった江戸時代は、庶民の間で旅行がブームとなり、七福神を祀っているお寺や神社を参拝する七福神巡りが流行しました。宝船に乗った七福神の絵は、おめでたいものが好きな江戸っ子に好まれ、たくさん売れたといいます。七福神に数えられる神々の顔ぶれが決まったのも、江戸時代のことです。
七福神の見分け方
七福神は、絵にした時に一目で分かるよう、それぞれ道具を持っており、肉体的な特徴が描き表されています。
- 恵比寿:風折り烏帽子、右手に釣り竿、左手に鯛
- 大黒天:左肩に大袋、右手に打ち出の小づち、足の下に俵
- 毘沙門天:甲冑、右手に鉾、左手に宝塔
- 弁才天:琵琶、宝冠、七福神の中で唯一の女性
- 福禄寿:杖、経典、背が低い、頭が長い、長いヒゲ、鶴を連れている
- 寿老人:杖、経典、うちわ、帽子
- 布袋:杖、布袋腹(太っている)、大きな袋を背負っている
七福神巡りとは
七福神が祀られている神社やお寺をすべて参拝することを、七福神巡りと呼びます。七福神巡りをすると、七つの災難が遠ざけられ、七つの幸福がやってくるとのことです(七難即滅、七福即生)。
お寺や神社のホームページで紹介されている
現代では、お寺や神社のホームページで七福神巡りのコースを紹介している所が多く、七福神巡りをしやすくなっています。七福神を祀ってあるお寺や神社では、七福神巡り専用の御朱印帳が売られていますので、それを買うといいでしょう。
自分の家から二番目に近いお寺から巡るのがいい
七福神巡りをする際の順番は、特に決められているわけではありません。ただ、自分の家から二番目に近いお寺や神社からスタートし、反時計回りに参拝して、最後に自分の家から一番近い神社に参拝するのがよいとされています。
お正月から一月七日までに巡ると運気が上がる
七福神巡りをする時期は特に決められていませんが、お正月から一月七日までの間に参拝すると、その年一年の運気が上がるといわれています。
①恵比寿とは
恵比寿とはどんな神様?
恵比寿は、七福神で唯一の日本生まれの神様です。イザナギ、イザナミが日本の国を作った時に生まれた最初の神様だといわれていますが、不完全な肉体で生まれてしまったため、葦の船に乗せられて川に流されてしまいました。また、大国主命(オオクニヌシノミコト)の子である事代主神(コトシロヌシノミコト)という説もあります。
恵比寿の名前の由来
「えびす」という言葉は、「夷」「戎」などと書くことがあります。「夷」「戎」という字には異邦人、異国人という意味があります。日本の漁村には、海から流れ着いたものをご神体として祀る習慣があったため、ご神体の漂着物を「えびす様」と呼ぶようになりました。これが、恵比寿の名の由来といわれています。
恵比寿のご利益
商売繁盛の神様として知られています。また、漁村で長く祀られてきた歴史から、海の上での安全にもご利益があります。
恵比寿に会える有名なお寺と神社
②大黒天とは
大黒天とはどんな神様?
大黒天は元々、ヒンドゥー教の破壊の神シヴァだといわれています。シヴァが仏教に取り入れられ、日本にやってきてから、七福神に取り入れられました。
大黒天の名前の由来
大黒天という名前の由来は、シヴァの化身である「マハー・カーラ(大いなるる暗黒)」を直訳したものです。「大黒様」と呼ばれることもあります。日本の神様・大国主命の名前も「だいこくしゅ」と読めることから、大国主命と同一視されるようになりました。
大黒天のご利益
農業の神、台所の神という性格から、五穀豊穣のご利益があります。また、金運アップや商売繁盛の効果もあります。
大黒天に会える有名なお寺と神社
③毘沙門天とは
毘沙門天とはどんな神様?
毘沙門天は元々、仏教の天部(神様)として知られていた神様です。仏教伝来と共に日本へ渡ってきました。帝釈天の部下として、須弥山の北方の宮殿に住んでいるといわれています。持国天、増長天、広目天と共に、四天王と称されることもあります。毘沙門天が四天王に数えられる時は、「多聞天」と呼ばれます。
毘沙門天の名前の由来
毘沙門天という名は、インドの神様だった時代の名前「ヴァイシュラヴァナ」に漢字を当てたものです。「ヴィシュラヴァナ」は「ヴィシュラヴァス神の息子」という意味で、彼の父親であるヴィシュラヴァス神の名に由来しています。
毘沙門天のご利益
戦いの神という性格から、勝負事や武芸向上、開運や立身出世などのご利益があります。
毘沙門天に会える有名なお寺と神社
④弁才天とは
弁才天とはどんな神様?
七福神の中で唯一の女神である弁才天は、元々ヒンドゥー教の神様で、インドでは「サラスヴァティー」という名前で知られています。インドにかつてあったサラスヴァティー川の化身といわれており、学問や弁舌(語学)、芸術に造詣が深い、才色兼備の神様です。「弁天様」と呼ばれることもあります。
弁才天の名前の由来
サラスヴァティーがヒンドゥー教の神だった頃、弁舌(言葉)の神であるヴァーチと同一視されたことから、「弁舌の才能を持つ神」として、日本や中国では「弁才天」と呼ばれるようになりました。時代が下るにつれて、金運・財運の神としての性格が付け加えられたため、「弁財天」と呼ばれることもあります。
弁才天のご利益
受験合格や芸術の才能アップ、縁結びなどのご利益があります。「弁財天」という呼び名が示すように、金運も司っていますので、金運アップも期待できます。大黒天が大きな財産を扱うのに比べ、弁才天はおこづかいが上がるなど少額のご利益があることが多いようです。
弁才天に会える有名なお寺と神社
- 大盛寺・井の頭弁財天(東京都三鷹市)
- 長谷寺・弁天堂弁天窟 (神奈川県鎌倉市)
- 寛永寺・不忍池弁財天(東京都台東区)
- 江島神社(神奈川県藤沢市江ノ島)
- 天河大弁財天社(奈良県吉野郡天川村)
- 霊山寺・大弁才天堂 (奈良県奈良市)
- 宝厳寺(滋賀県長浜市竹生島)
⑤福禄寿とは
福禄寿とはどんな神様?
福禄寿は元々、中国生まれの道教の神様でした。宋の時代に実在した仙人がモデルだと言われており、道教の三徳(中国人が人生で求める幸福)を体現した存在とされています。南極星が人の姿になったのが福禄寿だという伝承もあります。
福禄寿の名前の由来
福禄寿という名は、中国人が人生で求める三つの幸福を表しています。「福」は幸福(主に血が繋がった子供に恵まれること)、「禄」は俸禄(財産)、「寿」は長寿(健康で長生きできること)を表現しています。
福禄寿のご利益
子孫繁栄や立身出世、金運アップ、人望を得られる、長寿などのご利益があります。
福禄寿に会える有名なお寺と神社
⑥寿老人とは
寿老人とはどんな神様?
寿老人は元々、中国の宋の時代に実在した道教の神仙だったといわれており、千五百年も生きたといわれています。同じ中国生まれの神様である福禄寿と混同されることが多く、同じように、南極星が人の形になったとされています。同一の神と解釈されることもあります。
寿老人の名前の由来
道教の開祖である老子は、後に仙人になったと伝えられており、寿老人が老子の化身だとされました。また、中国には南極星(カノープス)信仰があり、南極星が現れた時に天下泰平となるという伝承があります。老子に対する崇敬と南極星信仰が融合し、寿老人という神となったといわれています。
寿老人のご利益
長寿と知恵、家庭円満や厄払いなどのご利益があるといわれています。
寿老人に会える有名なお寺と神社
⑦布袋とは
布袋とはどんな神様?
布袋は、中国の唐の時代に実在されたとされる伝説的な仏僧です。剃髪で小柄、太鼓腹がトレードマークで、いつも笑顔を浮かべています。予知能力があり、彼の占いは必ず当たったことから、弥勒菩薩の化身ともいわれていたようです。
布袋の名前の由来
元々は、契此(かいし)という名でしたが、いつも大きな布の袋を持っていることから「布袋」と呼ばれるようになったとのことです。袋の中には、人々からもらったお布施が入っていたとか。
布袋のご利益
未来予知や金運アップなどのご利益があります。また、和合の神様でもあることから、夫婦円満、家庭円満などのご利益もあります。
布袋に会える有名なお寺と神社
以上です。
最後に
七福神について、少しでも理解を深めることができたでしょうか?
色々な国の神様を迎え入れ、現在も続いている七福神信仰は、まことに日本らしい神様だといえるのではないでしょうか。休みの日には、ちょっとした旅行を兼ねて七福神巡りをするのもいいかもしれませんね。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。