私たちはみな、ご先祖様から受け継がれた命としてこの世に存在しています。
自分のご先祖様がどのような方でどういう人生だったのか、知らないという人の方が多いかもしれませんが、私たちの人生は少なからず先祖の因縁が関わっていると言われています。
その意味においてもご先祖様を供養することは大切なことだとされていますが、今回は先祖供養の大切さと、どのような供養を行えばいいのかなど、詳しくご説明したいと思います。
先祖供養の大切さと供養する上で注意すべきポイント
①先祖供養の意味
先祖供養は仏教行事だと思っている方も多いかもしれませんが、実は太古の昔から祖霊信仰というのが日本にはありました。それが仏教の伝来によって、仏教行事と融合したものがお盆だったりするわけです。
祖霊信仰では、私たちが今この世で生きているのは、親だけではなく先祖がいてくれたおかげ様だという感謝の気持ちが大切だと考えられてきましたが、今もそれは受け継がれているのです。
先祖供養の意味とは、あの世にいる先祖の冥福を祈ると同時に、先祖に対する感謝の気持ちを伝えることにあります。
②供養という漢字が意味すること
供養とは、サンスクリット語の「プーシャ」を漢字にしたもの。香・花・燈明を献ずるという意味があります。
「供」には両手をそろえて恭しくものをささげ持つという意味があり、「養」は子どもが父母の飲食を調達して差し上げるということを示しています。親が子どもを養うという意味ではないということです。
この漢字の意味を見ても、先祖供養とはどういうことなのかがよくわかると思います。
③先祖供養の大切さ
先祖供養は大切だと言われていますが、それはなぜなのでしょうか。
どのような先祖がいるのか、全てを知るというのは難しいことかもしれませんが、先祖がみな幸せな人生を全うし成仏できた方ばかりとは限りません。中には生きている時に罪を犯したり、強い恨みを抱いたりして、そのまま亡くなった方もいるかもしれません、そういう先祖は成仏できないまま、今も苦しんでいると言います。
そういう先祖の因縁は、今生きている私たちにも悪影響を及ぼします。人生がうまくいかないという方には、原因が先祖の因縁からくる可能性もあるます。
また、先祖や家族に対する感謝の気持ちが足りないことで、霊的に断絶をしてしまっていることもあります。亡くなった方との心の繋がりは、現世の人間関係と同じです。
良い人間関係を築くことで大切なのは相手に対する思いやり、感謝の気持ちだと思いますが、それを怠ることによって先祖からのご加護も受けることはできなくなります。
先祖の成仏を祈り、感謝の気持ちで供養を行うことは、子孫である私たちの幸せにも繋がるのです。
④先祖供養の方法
仏教では「報恩感謝」という言葉があります。先祖や親の恩に感謝するという意味ですが、仏壇の前で手を合わせる、お墓参りに行くというのは個の気持ちを表すためのものです。
自宅に仏壇がある方は、毎朝ろうそくに火を灯し、お水やお茶を供えて線香をあげて手を合わせます。仏教の宗派によって経典は違うと思いますが、時間があれば読経で先祖供養するのがいいでしょう。
家に仏壇がないという方は、お彼岸やお盆、人生の節目の時などにはお墓参りをして、先祖の成仏を祈り、感謝の気持ちを伝えましょう。
⑤先祖が喜ぶ供養とは
先祖を大切にするという気持ちを表すのは掃除です。仏壇やお墓を念入りに掃除することで、先祖に感謝の気持ちが伝わりやすくなり、先祖も喜ぶと言われています。
また、お供え物をする時は、果物なら皮を剥いたり、袋に入ったお菓子は封を切ったりして、すぐに食べられる状態にしておきます。肉体を持たない霊は開けることができないからです。
お供えするのは、半日から一日で十分です。細やかな気配りをすることで、先祖たちは喜びます。私たち子孫の繁栄を、ずっと見守り続けてくれることでしょう。
⑥先祖供養にしてはいけないこと
亡くなった方の形見や遺品は、大切に取っておきたいという方も多いでしょう。しかし、それは亡くなった方にとってはよくないこととされています。
亡くなった方がこの世に執着を持つことが、成仏できない原因だといいます。自分が死んだということを霊に自覚させるためにも、遺品は早く処分した方がいいということです。
目に見えない思い…恨みや執着も、亡くなった霊が成仏できない原因です。また、私たちが執着することもよくありません。
先祖のせいで、こんな目に合っている、先祖がこういうことをしたから…など、そういうことを思ったりするのも、先祖たちが成仏できない理由でもあります。
なんであろうと、先祖のお陰様で私たちの存在があるのです。感謝の気持ちだけを伝えましょう。そして、先祖供養は、をするのは、この世への未練や執着を取り除いて差し上げることでもあります。何も心配せず、安らかに成仏していただくためにはどうすればいいのかという心遣いを忘れず、しっかり供養して差し上げましょう。
最後に
先祖供養。それは先祖のためだけではなく、今生きている私たちが幸せに暮らすためにも大切なことです。この命をいただいたこと、そしてここに存在していることの全ては、先祖の存在があったからです。先祖から受け継がれたものはいろいろあるかもしれませんが、日々の暮らしの中で、感謝の気持ちだけは忘れずにいたいですね。
先祖供養の大切さと供養する上で注意すべきポイント
①先祖供養の意味
②供養という漢字が意味すること
③先祖供養の大切さ
④先祖供養の方法
⑤先祖が喜ぶ供養とは
⑥先祖供養にしてはいけないこと