「禅病」という言葉が気になる方へ。
坐禅の効能は世界中で広く知られるようになりましたが、誤った坐禅修行によって、恐ろしい「禅病」にかかってしまうことがあります。
果たして「禅病」とはどのようなものなのでしょうか。そして、禅病を避ける、あるいは症状を軽減するためにはどうすればいいのでしょうか。本記事では瞑想の危険性「禅病」とは何か?意味・原因・症状・治療方法を一緒に見ていきましょう。
禅病は誤った坐禅修行をすることでかかる
「禅病」とは読んで字のごとく、誤った坐禅修行をすることで出る様々な症状のことをいいます。人によって症状の出方が違いますが、主に、以下のような症状が知られています。
禅病の症状
- 統合失調症のような症状(被害妄想、誇大妄想、関係念慮など)
- 自律神経失調症のような症状(冷えやのぼせ、動悸など)
- 幻覚、幻聴
- 頭痛、胸の痛みなど
- 皮膚のピリピリした痛み
- 感情のコントロールができなくなる
- 食欲・性欲の異常な増大、もしくは食欲や性欲が全くなくなる
- 下痢、便秘
坐禅修行を始めてから、もし上記のような症状が出た場合、すぐに坐禅を中止してください。禅病が悪化する危険があります。
禅病は「野狐禅(やこぜん)」とも呼ばれていた
禅病は「野狐禅」と呼ばれていたこともあります。
禅病にかかると統合失調症のような症状が出ることがありますが、統合失調症はかつて「狐憑き」とも呼ばれていました。統合失調症の陽性症状が出ている時は狐のように目が吊り上がること、そして、四つんばいになったり動物の真似をすることがあることなどから、狐の霊が憑いていると考えられるようになったのでしょう。
「禅病」「野狐禅」の状態になると、色々なインスピレーションを受け取りやすくなるのか、突然詩を書き始めたり、歌手が歌っている詩の内容が深く理解できたような感覚になることがあります。
とはいえ、弊害も大きいですから、このような症状が出た場合、早めに精神科や心療内科の治療を受けるようにしましょう。
禅病にかかる原因
ここからは禅病になってしまう原因を紹介していきます。
①精神的に不安定な人は禅病になりやすい
もともと精神病を患っていたり、精神的に不安定な人が坐禅をすると、精神病の症状がさらに悪化することがあります。精神的な不安がある時は、悪夢を見ることが多いのと同じです。
坐禅や瞑想は、精神病が寛解してから行うようにしましょう。
②気が頭に上りすぎてしまうために禅病になる
禅病の原因は、全身をめぐる「気」のエネルギーが頭に上りすぎることによって起きるという説があります。そのため、気をヘソの下にある臍下丹田(せいかたんでん)へと降ろしてあげると、症状が改善するといわれています。
思考が早く回り過ぎる、怒りなどのネガティブな感情を抑えられなくなってしまうという人は、気が頭に上りすぎてしまっているのかもしれません。
③精神世界にのめり込みすぎると禅病にかかる
現実世界で不遇な目に遭っている人が精神世界を知ると、際限なくのめり込んでしまい、禅病にかかってしまうことがあります。人によっては、プライベートの時間をすべて坐禅に費やしてしまうことも……。
坐禅は、長くても1日30~45分程度に
現実世界での生活が思うようにいかない時、精神世界に逃避したくなる気持ちはあるでしょうが、そのせいで禅病にかかってしまっては、元も子もありません。坐禅は、長くても1日30~45分程度にとどめておきましょう。
禅病の症状のスピリチュアル的な解説
ここからは禅病の症状をスピリチュアル的に解説していきます。
①被害妄想・誇大妄想
禅病によって、被害妄想や誇大妄想の症状が出る人がいます。たいていの場合は、もともと本人に性格の偏りがある場合がほとんどです。
ですが、禅病になる前は「個性的」といわれる程度だった人でも、症状が悪化してしまうと、日々の暮らしすらままならないような状態になることが多いです。
坐禅の目的は、人間として精神的に成長することです。心の歪みは、早めに取り去っておきましょう。
②関係念慮
関係念慮とは、まったく関係がない2つの出来事を、なぜか関連づけてしまう症状のことです。多くの場合、自分とは無関係の出来事を自分と関連づけて考えてしまうパターンが多いようです。
▼たとえば、道を歩いている時に自分とすれ違った人がくすっと思い出し笑いをした場合、「あの人は、私を見て笑ったに違いない!」と自分に関連づけてしまうことを関係念慮というのです。
▼別のパターンとして、「チーズケーキを食べたい」と思った時にテレビをつけると、なぜかテレビでチーズケーキの特集をしていたりすることがあります。普通の人は「不思議な偶然もあるものだな」と考えるのですが、禅病の人はこの出来事を「テレビ局が私の考えを読み取ったに違いない!」と解釈するのです。
これを禅やスピリチュアル的な見方では、シンクロニシティが起きていると解釈します。
シンクロニシティとは
シンクロニシティとは、意味のある不思議な偶然のこと。分離の感覚が壊れ、現実世界のものが一体化した状態で認識され始めているのですが、本人に自覚や精神世界の知識がないため、何が起こっているのか分からず混乱してしまっているのです。
③幻覚・幻聴
禅病にかかると、霊的に非常に無防備な状態になるため、低級霊などから干渉を受けやすくなります。幻覚、幻聴は低級霊たちの姿やささやきを五感で認識してしまっている状態なのです。
精神世界では、波長が近い者同士が接触しやすくなるという法則がありますので、精神的に不安定な人、霊格が低い人ほど低級霊に憑依されやすくなります。
こういった症状が出た場合は、精神科を受診すると、幻聴や幻覚を抑える薬を処方してくれます。
④頭痛・胸の痛みなど
気が頭に上りすぎているか、低級霊などからチャクラを攻撃されていることが考えられます。
気が頭に上っている場合は、後述の「軟蘇(なんそ)の法」で気を下ろしましょう。また、市販の痛み止めなどでも効果がある場合があります。
禅病の治療方法
ここでは、禅病の治療方法をご紹介いたします。
①軟蘇の法で気を下ろす
「軟蘇の法」は、禅宗の僧・白隠禅師が考案したという方法です。「蘇」とは昔、日本で食べられていたバターのような食べ物のこと。白隠禅師は修行中に禅病に悩まされましたが、この「軟蘇の法」で禅病を克服したとされています。
- 背筋をまっすぐにして座ります。(結跏趺坐、半跏趺坐、あぐらなど、どれでもOKです)
- 頭の上に、卵ほどの大きさのバターの塊のような物が乗っているのを思い浮かべます。
- そのバターが溶けて、ゆっくり背筋を伝い降りていくのを想像します。バターが降りていく時に、身体が癒されるのをイメージしてください。
ウォーキングで足腰を鍛える
また、ウォーキングで足腰を鍛えるのも、禅病の症状を軽減する効果があります。ウォーキングの際は、一歩歩くたび、靴の裏が地面に触れる感触に集中するようにしてください。
②精神世界について学び、内観を深める
禅病にかかってしまう原因は、肉体的な覚醒と精神的な学びのバランスが取れていないためでもあります。
たとえば精神世界の知識があれば、前述のシンクロニシティなどの現象におびえる必要はなくなり、出来事をきちんと解釈できるようになります。できれば禅病にかかる前に、学んでおくといいでしょう。
③ストレスを遠ざける
ストレスは、禅病の大敵です。多くの精神病がそうであるように、ストレスがかかると、禅病の症状はよりひどくなってしまいます。
もし過大なストレスがかかる環境にいるのであれば、すぐに環境を変えるようにしましょう。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
禅修行の落とし穴「禅病」について、少しでも理解する手助けになれば幸いです。現代では精神病に対する理解も深まり、昔のように座敷牢に閉じ込められることはなくなりました。
禅病にかからないのが一番ですが、万が一、禅病を発症してしまった場合は、すぐに医療機関などで治療を受けるようにしましょう。禅病そのものは治療できなくても、薬で症状を軽減することは可能です。
「瞑想の危険性「禅病」とは何か?意味・原因・症状・治療方法」の要点は
- 禅病は誤った坐禅修行をすることでかかる
- 禅病は「野狐禅(やこぜん)」とも呼ばれていた
- 禅病にかかる原因
①精神的に不安定な人は禅病になりやすい
②気が頭に上りすぎてしまうために禅病になる
③精神世界にのめり込みすぎると禅病にかかる - 禅病の症状のスピリチュアル的な解説
①被害妄想・誇大妄想
②関係念慮
③幻覚・幻聴
④頭痛・胸の痛みなど - 禅病の治療方法
①軟蘇の法で気を下ろす
②精神世界について学び、内観を深める
③ストレスを遠ざける
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。