「トリグナ」という言葉の詳しい意味を知りたい方へ。
ヨーガやアーユルヴェーダについて調べたことがある方の中には、「トリグナ」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。今の心の状態が、「トリグナ」のどれに当たるのかを知っておくと、対処法や改善法を見つけることができるでしょう。
本記事では、ヨーガにおける心の性質「トリグナ」という言葉の意味を解説していきます。
「トリグナ」とは3種類の心の状態のこと
「トリグナ」とは、ヨーガやアーユルヴェーダなどで使われている言葉です。「トリ」とは「3つ」のこと。そして、「グナ」とは心の状態を表します。
グナは「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」の3種類に分けられます。
サットヴァの性質
それでは、まずはサットヴァの性質について解説していきます。
①善美で清らかである
「トリグナ」のうち、「サットヴァ」と呼ばれる性質は、他の2つに比べると清らかで汚れがなく、バランスが取れていて健康的な性質だと言われています。知識に憧れ、幸福に執着するという性質があります。どんなことでも見返りを求めずに行動するので、ストレスを感じません。
②健康的な食べ物を好む
「サットヴァ」の性質が強い人は、生命力を増してくれて、肉体を浄化してくれる健康的な食べ物を好みます。心身のバランスが取れている為、食べる量も腹八分目に留めることができるので、食べ過ぎることがありません。結果、太りすぎでも痩せすぎでもない健康的な体形の人が多いです。
③見返りを求めない
「サットヴァ」の性質が強い人は、宗教活動や精神世界の探求をする時も、もちろん現実世界で行動する時も、決して見返りを求めず、ただ自分の義務として行います。行動や発する言葉、そして自分の信仰心のあり方にも気を配り、絶えず自分をコントロールしています。また、途中で挫折してしまうような苦行や、自分の身体を傷つけるようなことは行いません。
ラジャスの性質
ここでは、ラジャスの性質について解説していきます。
①限りない欲求や競争心を持つ
「トリグナ」のうち「ラジャス」の性質が強い人は、欲求や欲望、競争心が強くなります。他人に負けたくない、努力した分の結果を得たいという欲求が強い場合は、ラジャスの性質が増長している証と見ることができるでしょう。ラジャスの性質が優勢になると、物質的・金銭的な利益に対する執着が強くなります。また、見返りを求めて行動することが多いため、日常生活で強いストレスを感じます。
②刺激的な食べ物を好む
「ラジャス」の性質が強い人は、刺激的な食べ物や飲み物を好みます。辛い物や味が濃い物、苦味や酸味が強い物、極端に熱い物や冷たい物、炭酸やアルコール、刺激が強い物が好きな人は、ラジャスの性質が強くなっているかもしれません。
刺激物は、たまに楽しみや人付き合いの一環として食べるのならいいですが、常食すると身体に負担がかかってしまいます。また、日頃のストレスを食事で発散している場合や、満腹感を感じにくい場合も、ラジャスの性質が強くなっていると言えるでしょう。
③見返りを求める
「ラジャス」の性質が強い人は、精神世界の探求や宗教活動をする時にも、見返りや物質的な利益を求めます。他の人より先に悟りたい、たくさんのお金が欲しい、社会で成功したいという考えが根底にある場合、ラジャスの性質が優位になっていると言えるでしょう。
また、激しい修行や苦行、自分が行った善行をひけらかす行為も、ラジャスが優位になっている証と言えます。ですが、この世では必ずしも努力が報われるとは限りませんし、いつも満足できるだけの見返りが得られるとは限りません。そのため、「ラジャス」の性質が優位の人は、強い怒りや不満を感じることが多くなります。
タマスの性質
ここでは、タマスの性質について解説していきます。
①怠惰で無気力
「トリグナ」のうち、「タマス」の性質が強い人は、無気力で面倒くさがりになります。行動する気力が湧かないため、望み通りの結果を出すことができず、妄想にふけったり、他人を妬んで足を引っ張ったり、逆恨みするようになります。タマスの性質に支配されてしまうと、望み通りの人生を生きることはできなくなるでしょう。
②古く味のない食べ物を好む
「タマス」の性質が強い人は、古い物や腐った物、味がない物、そして不健康な食生活や習慣を好みます。また、食べた後、運動をする気力がないため、太りやすく不健康になります。
③精神世界への無関心
「タマス」の性質が強くなると、精神世界や自分を成長させることに興味がなくなります。自分の心身を成長させてくれる人やものと、自分を毒する人やものの区別がつかなくなり、まともに物を考えられなくなります。結果として、生活や経済状況がどんどん悪化していきます。
トリグナを超越することこそが最終目的
「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」それぞれの性質について説明してきましたが、これら「トリグナ」は、あくまでも心の状態に過ぎません。この3つの性質「トリグナ」のどれかに囚われている限り、人間は何度もこの世に生まれ変わって修行を続けなくてはならないのです。
まずは「サットヴァ」の心の状態を保つ
まずは「サットヴァ」の心の状態を保ち、自分の欲求をコントロールすることを目標にしましょう。「サットヴァ」の状態に留まり続けていると、いずれ、「トリグナ」を超越した物の見方ができるようになり、心の状態・悟りの境地に近づけると言われています。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
「トリグナ」と、「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」の性質について、少しでも理解することができたでしょうか?今、「タマス」の状態であれば「ラジャス」を目指し、「ラジャス」の状態であれば「サットヴァ」の状態を、そして「サットヴァ」の状態にある人は、「トリグナ」を超越した境地を目指してみると、少しずつ成長していくことができるでしょう。
ヨーガにおける心の性質「トリグナ」の要点は
- 「トリグナ」とは3種類の心の状態のこと
- サットヴァの性質
①善美で清らかである
②健康的な食べ物を好む
③見返りを求めない - ラジャスの性質
①限りない欲求や競争心を持つ
②刺激的な食べ物を好む
③見返りを求める - タマスの性質
①怠惰で無気力
②古く味のない食べ物を好む
③精神世界への無関心 - トリグナを超越することこそが最終目的
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。