「身口意(しんくい)」という言葉の意味を知りたい方へ。
仏教に関する知識がある方は、「身口意」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この言葉は、一体どんな意味なのでしょうか?そして、仏教の考え方にどう関わっているのでしょうか。
本記事では、身口意とは何か?その意味をご紹介いたします。
①「身口意(しんくい)」とは心身の活動のこと
「身口意」とは仏教用語です。
「身」は行動のこと、「口」は話す言葉のこと、そして「意」とは心のことです。「身業」、「口業」、「意業」の「三業」と呼ぶこともあります。
②「身口意」を一致させるよう心がける
仏教では、「身口意」を一致させることを心がけます。
身口意を一致させるとはどういうことかといいますと、「思っていないことは言わない」「したくないことはしない」ということで、行動、言葉、考えに矛盾を生じさせないということです。
③「口だけ」の人は「身口意」が一致していない
あなたの周りに、「言っていることとやっていることが違う」「発言は立派だけど、行動が伴っていない」「明らかに本音で話していない」人はいないでしょうか?
こういった人は、「身口意」が一致していない人だと考えることができます。残念ながら、世の中の多くの人は、「身口意」に矛盾が生じていても、本人は矛盾していることにすら気付いていないものです。
④自分の心の声を把握するのは大切
もちろん、社会生活を送っている以上、したくないことを全て避けるというのは難しいことです。
ですがそれでも、自分の心の声をきちんと聞いてあげる、自分の心の状態を把握するというのは、心身の健康を保つためにも大切なことです。
⑤「身口意」の不一致がトラブルやストレスを生む
「身口意」が一致していないと、どうなるのでしょうか。
「思ってもいないことを言う」「したくもないことをする」……すでに、こうした生活が当たり前になってしまっている人もいるかもしれません。
ストレスは万病の元
付き合いたくもない人と友達付き合いをしたり、したくもないことを続けていると、人はストレスを感じます。ストレスは万病の元。
さらに、自分の本音を無視しているうちに、自分が本当はどんな人生を送りたいのか、どんな人と付き合いたいのか、何がしたいのかさえ分からなくなってしまいます。
そうなると、自分より恵まれた生活をしている人や、したいことをしている人に嫉妬するようになり、始終、何かにイライラするようになります。
⑥本音を明かせば本当の友人ができる
「身口意を一致させなくてはいけない」といっても、本音を明かすと他人から嫌われてしまうかもしれないと不安に思う人は多いのではないでしょうか。ですがこれはまったくの逆で、むしろ、本音を明かすからこそ人から好かれるし、本当の友人ができるのです。
嘘偽りのない人間関係を作るチャンス
本音を出して嫌われるような相手とはそもそも相性がよくないのですし、仲良くなる必要などないのです。どんな善人でも、万人に好かれることはありません。本音を出すことであなたを嫌う人はいるかもしれませんが、あなたに好意を持つ人もいるはずです。嘘偽りのない人間関係を作るチャンスだと捉えて、本音を明かしてみてはいかがでしょうか。
⑦やりたいことを口に出すだけでもいい
「したいことはあるけど、今すぐ実行できない」という場合は、友人や知人に、その「したいこと」を打ち明けてみるのはどうでしょうか。
話すことも行動のうちですし、友人関係というのは意外なところで繋がっているものです。あなたの希望を後押ししてくれる人を紹介してくれたり、今後に繋がるような出来事が起きるかもしれません。どんな小さな行動でも、しないよりはする方がいいのです。
⑧自分の本音をきちんと把握する
「したいことをする」とはいっても、その「したいこと」が本当に自分の希望なのかをきちんと考えるのも大切です。
思い込みから生じた願い
たとえば、「作家になりたい」という希望を持っているけれど、1作も作品を完成させたことがない人がいます。もしかしたらこの人が求めているのは作家になることではなく、作家になった後で得られる名声や周囲からの賞賛、社会的な評価なのかもしれません。
「一流大学に入りたい」という希望を持っている人も、もしかしたら本人が希望していることではなく、周囲から期待されていること、あるいは一流大学を卒業すれば社会的な評価を得られるという思い込みから生じた願いなのかもしれません。
直視したくないことにも向き合う
どちらの場合も、本当の望みとはズレが生じていますから、努力をしていても苦痛を感じることが多く、思うような結果を得られない場合が多いです。自分の本音をきちんと掘り下げ、直視したくないことにきちんと向き合ってこそ、身口意を一致させることができます。
⑨「身口意」が一致すればシンプルに生きられる
「身口意」を一致させると、迷いが少なくなり、シンプルに生きることができます。人生は短いですし、人は一生の間に、そう多くのことを成し遂げられるわけではありません。「断捨離」が一時期ブームになりましたが、必要ないものを切り捨てるというプロセスも、実り多い人生のためには大切なのです。
「したいこと」が明確になっていれば
人生において「したいこと」が明確になっていれば迷いが少なくなり、シンプルに生きることができるようになります。そして、行動と言葉、心に矛盾がなくなれば、一本筋が通った人生を送ることができるようになるでしょう。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
本記事を読むことで、「身口意」について、多少なりとも理解を深めることができたでしょうか?行動や言葉、気持ちに矛盾がなく、一本筋が通った人というのは、他人からも魅力的に見えるはずです。明日からでも、「身口意」の一致を少しずつ心がけてみてはいかがでしょうか。
仏教用語「身口意(しんくい)」の要点は…
- ①「身口意(しんくい)」とは心身の活動のこと
- ②「身口意」を一致させるよう心がける
- ③「口だけ」の人は「身口意」が一致していない
- ④自分の心の声を把握するのは大切
- ⑤「身口意」の不一致がトラブルやストレスを生む
- ⑥本音を明かせば本当の友人ができる
- ⑦やりたいことを口に出すだけでもいい
- ⑧自分の本音をきちんと把握する
- ⑨「身口意」が一致すればシンプルに生きられる
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。