「臨死体験」をお調べになっている方へ。
「臨死体験」は、よくある話としては、医師が「ご臨終です」と告げた時に、本人の魂が体を離れ、家族が悲しむ様子を見ているといった体験です。その後、暗いトンネルを抜けて、やがて前方に光を見つけ近づいて見ると、美しいお花畑が見えてきます。輝く光りに包まれ幸福感を感じ、「ずっとここに留まっていたい」と思うそうです。ところが、お花畑の向こうから、亡くなった親しい親族が出てきて、「ここに来てはいけない、戻りなさい」と言われ、しばらく躊躇していると、「まだ、死ぬのは早い。もっと生きなさい」と説得され、ようやく戻る決心をすると、病院のベッドの上で蘇生し、目が覚めます。
この不思議な体験を「臨死体験」と言いますが、本記事では臨死体験とは何かを分かりやすく解説いたします。
①臨死体験とは肉体的な死から「生き返る」体験です
「臨死体験」は、世界でも多くの事例があり、医学的な研究がなされています。英語では、NDE(Near Death Experience) と表記されています。訳語としては、「臨死体験」「ニアデス体験」「近似死体験」等があります。
【臨死体験の典型的なパターン】
- ⑴心臓の停止・・・医師が患者の心臓の停止について宣告することが、本人にも聞こえます。
- ⑵魂が肉体から離脱・・・幽体離脱現象が起き、肉体から魂が抜け、病室の上から、自分の肉体を眺めることができます。
- ⑶魂の移動・・・暗いトンネルのような世界をさまよいます。
- ⑷光の発見・・・光の世界で、神や仏のような存在を感じます。
- ⑸人生の回顧・・・自分の一生を一連の映画のように見ることができます。
- ⑹親族や知人との出会い・・・亡くなった親しい親族や知人との出会いがあり、「ここへ来てはいけない」と言われます。
- ⑺蘇生・・・帰ることを決心すると生き返ります。
臨死体験の多くは、上記のようなパターンを持っています。医学的には、心臓が止まり、肉体的な死の宣告が行われますが、本人の意識が残っています。その意識は、魂となり肉体を離れますが、親しい肉親や知人との出会いがあり、「生きること」を勧められ、死の淵から生還することを決意すると生還します。
②臨死体験中に「脳がどうなっているか」についての科学的説明
「臨死体験」について、脳の状態がどういう状況になっているのか、科学的な説明をご紹介致します。
【体外離脱(Out of Body)は脳の側頭部に損傷を受けている】
臨床的には、死んでいるとされる時間帯に自分自身が空中に浮かび、自分の体や周囲の人物を見ることができるという患者からの報告があります。これには、脳の側頭部の損傷と関係があるようです。
医学的な研究結果によると、脳の側頭部には、身体の感覚とその他の器官から収集されたデータを組み合わせて、個人の身体の知覚を形成する役割がありますが、その部分に損傷を受けると体外離脱の経験を感じる可能性があるそうです。実験では、脳の側頭部を電気的に刺激すると、死に近づかなくてもこの現象を再現できることがわかりました。
【明るい光の世界を見る現象の原因は、二酸化炭素の高い含有率】
臨死体験をしたほとんどの人々が、トンネルを抜けて光の世界を感じています。この光に包まれると絶対的な平和感と限りない慈しみを味わうことができます。そして、親しかった親族や知人との出会いがあります。
⑴NASAでの実験
NASAにある宇宙飛行士の訓練機械は、ロケット発射の際に起きる大きな重力に耐えるために、遠心分離機のような機械のカプセルに宇宙飛行士を入れて、人工的に大きな重力を作ります。その時に宇宙飛行士の脳は、酸素欠乏を起こします。しばしば幻覚を起こすので、脳の酸素欠乏と幻覚が関係することが分かっています。
⑵臨床結果
医学的に実証されたものとしては、心臓発作を起こした患者の研究で、血中の二酸化炭素の含有との間に相関関係があるという可能性が明らかになりました。52人の患者のうち、11人が臨死体験をしましたが、この11人の血液中の二酸化炭素の含有率は、他の患者の二酸化炭素の含有よりも圧倒的に多かったことが分かっています。血液中の二酸化炭素の含有率が高いと、視力に大きな影響があり、患者によってはトンネルと明るい光を感じることになります。
【至上の幸福感は、ホルモンの作用】
輝く光の世界に包まれると、これ以上ないと言うほどの幸福感に包まれます。人によっては、神を感じ、「もどりたくない」という強い気持ちになります。重病のために極度のストレスがおきますが、その時、脳からはエンドルフィンというホルモンが分泌されます。
このホルモンは、モルヒネのように痛みを取り除き穏やかな感覚を引き起こします。臨死体験で、信じられないほどの喜びと平和な感覚に包まれるという原因は、エンドルフィンの可能性があるとされています。
臨死体験とこれらの脳の状態が直接の原因と結論付けるには、まだ十分とは言えません。次にあげる例をご紹介しながら、臨死体験の不思議さをご紹介していきます。
③臨死体験中の体外離脱は本当か?
「体外離脱」は、医学的には幻覚ではないかと言われていますが、患者からの報告によると、幻覚と言えないほど、死んだとされる時間に、医師と看護師の会話のやり取りを覚えたりしています。「体外離脱」は、本当にあるのでしょうか?
【マイケル・セイボム博士の研究】
マイケル・セイボム博士は、アメリカのジョージア州、アトランタにある病院に勤務しながら、「臨死体験」を20年以上研究しています。彼は、患者の話を幻覚と片づけず、「臨死体験」をした患者の記録を研究した結果、「体外離脱」を認めました。その記録の中にパム・レイノルズという患者の臨死体験の報告があります。
【パム・レイノルズの臨死体験】
アメリカのジョージア州アトランタ出身の女性ミュージシャンであったパム・レイノルズは、1991年8月頃、頭部に難しい動脈瘤を患っていました。彼女はアリゾナ州フェニックスにあるバーロウ神経学研究所のロバート・スペッツラー医師を訪れ、「低体温心停止法」という手術を依頼しました。この手術は、患者の体温を摂氏15~16度に低下させ、心拍と呼吸を停止させ、脳から血流を抜き取り、患部を除去する手術です。
【手術中、彼女は体外離脱した】
彼女は手術中に、「体外離脱」を経験しました。
- ⑴手術室に入り、麻酔薬を打たれ、意識が無くなりました。
- ⑵頭部の手術が開始されました。
- ⑶パムの意識は、医師のスペッツラーの肩のあたりに留まっていました。
- ⑷頭部は「骨のこ」により頭蓋骨が切り取られるのを見ていました。
- ⑸パムは手術室にいた心臓外科医が、静脈と動脈のバイパスを作ろうとしていましたが、血管が細すぎると言って手間取っているのを見ていました。
- ⑹パムの身体の冷却が始まり、摂氏14度まで低下しました。心臓は停止し、呼吸も停止しました。身体からは、血液が抜き取られました。
- ⑺その頃、パムは祖母に呼ばれたような感じがしました。
- ⑻トンネルのような暗闇を通り、明るい光の世界に入って行きました。
- ⑼パムは祖母以外にも伯父や祖父とも出会いました。祖母から光のエネルギーを受け取るとパムは元気になりました。
- ⑽手術室では、動脈瘤の切除が成功しました。暖かい血液が身体に戻され始めると、脳幹や脳波が正常に動き始めました。
- ⑾止まっている心臓には、電気ショックが与えられました。
- ⑿パムは、仲の良かった伯父に付き添われ、手術室に戻ってきました。ベッドに横たわる自分自身の体の中に押し戻されました。
- ⒀病院内では、「ホテル・カリフォルニア」の音楽がかかっていましたが、パムは、それを聴き取ることができました。
- ⒁パムは、自分に起きたことを幻覚だと思っていましたが、パムが見たり聞いたりしたことを医師に話しました。医師は、パムの話に驚きました。なぜなら、パムが手術室で起きたことについての話は、全て事実だったからです。
上のパムの臨死体験について、マイケル・セイボム博士は、大いに興味を持ち、バーロウ神経学研究所から報告書を取り寄せて、検証しました。その内容は、「Light and Death」 (邦題:続・あの世からの帰還)で発表しました。
出典:世界聖典普及協会
その内容と言うのは、パムが手術室の中で聞いた医師たちの会話や施術の内容が、時間的にも正確であることが分かりました。また、臨死体験の原因である脳内現象説の中にある側頭葉てんかん説での側頭葉発作は、パムの場合には認められませんでした。スペッツラー医師も、「この低体温心停止法の手術において、側頭葉発作を起こした患者は今まで見たことはありません」と語っています。
④「プルーフ・オブ・ヘブン」の臨死体験
脳神経外科医であるエベン・アレクサンダー医師が、2012年に書いた本に「プルーフ・オブ・ヘブン・脳神経外科医が見た死後の世界」があります。日本語に訳せば、「天国の証明」です。
【ある日エベン・アレクサンダーは昏睡状態に】
エベン・アレクサンダー医師は、2008年に原因不明の髄膜炎を起こし、昏睡状態に陥りました。昏睡状態は7日間続きました。その後、奇跡的に生き返りました。その時に、臨死体験をしたのです。
天使や美しい蝶や、亡くなった親族や死んだ妹にも会うことができたのです。彼は、美しい世界に身を置き、理想の思考の世界を経験しました。広大な安らぎもありました。そこは宇宙の胎内というにふさわしい場所でありました。そこで彼は、多次元の世界を知ることもできました。
不思議なことは、エベン・アレクサンダー医師が昏睡状態にあった時に、彼の脳は完全に機能していなかったということが分かりました。その結果を見て、エベン・アレクサンダー医師は、死後の世界があることを信じるようになりました。
⑤スティーブン・ローレイズ博士の研究(昏睡状態の脳の研究)
スティーヴン・ローレイズ博士(1968~)は、ベルギーの神経科医です。彼は、意識の神経学の分野においては、一流の臨床医、研究者として世界的に認められています。彼は、昏睡状態にある患者とのコミュニケーションに成功しました。
【スティーブン・ローレイズ博士の経歴】
彼は、ベルギーのリエージュ大学サイクロトロン研究センターで脳の研究を行い、神経学の分野では、生命の終焉に際しての緩和医療で学会に認められています。現在は、昏睡科学グループを率い、リエージュ大学附属病院の神経内科学教授、国立科学研究基金の研究部長を務めています。また、ヨーロッパ神経学会の昏睡と意識障害に関する小委員会の議長です。
【イギリスと共同で昏睡状態の患者の研究を行う】
2003年に交通事故で、昏睡状態となった男性がいました。スティーヴン・ローレイズ博士は、イギリスのケンブリッジにあるウルフソン悩イメージングセンターのエードリアン・オーウェン博士と共同で、この昏睡状態にある患者に対して臨床実験を行いました。
【「イエス」「ノー」で答えられる質問の答えをMRIで測定】
彼らは、MRIを使い、昏睡状態にある患者に「イエス」「ノー」で答えられる質問をした時の脳の動きを撮影に成功しました。その結果、患者の脳が正しく反応していることが確認されました。この技術は、健常者に対しては有効な方法ですが、植物状態にある患者に対しては、この患者が初めての臨床実験でした。
【将来は昏睡状態の患者に対する生活の向上をめざす】
その後、3年間で、植物状態の患者23人に対して実験を行い4人から反応が確認されましたが、「イエス」「ノー」のコミュニケーションができたのは、この男性患者だけでした。スティーヴン・ローレイズ博士は、「この技術はまだ始まったばかりだが、将来的には患者が感情や思考を表現することで、自ら環境をコントロールして生活の向上を図りたい」と抱負を述べています。
⑥P.M.H.アトウォーターの著述「Beyond The Light」から臨死体験例
出典:amazon
P.M.H.アトウォーター(1937~)は、アメリカのアイダホで生まれの著述家です。彼女は臨死体験の分野では有名な研究者のひとりです。彼女の著作は臨死体験の研究において、バイブル的な存在と言われています。彼女の著作「Beyond The Light」の中に臨死体験者の話が集められています。その中に、有名な小説家のアーネスト・ヘミングウェイの臨死体験の話が出ています。
【アーネスト・ヘミングウェイの臨死体験】
アーネスト・ヘミングウェイ(1899~1961)はアメリカの小説家です。簡潔な文体と冒険好きな生活などで、20世紀の文学界と人々に大きな影響を与えました。1954年には、ノーベル文学賞を受賞しています。彼には、臨死体験があり、それが彼のその後の作家活動に大きな影響を与えました。
【ヘミングウェイの臨死体験】
ヘミングウェイは、赤十字の一員として北イタリアに行き重症を負い臨死体験をしました。第1次世界大戦中、ヘミングウェイは北イタリアのフォッサルタの近く、ピューヴェ川のほとりで戦った時に瀕死の重症を負いました。幸いにも彼はミラノに移され回復しました。そこから、彼は不可解な声明を作りました。
「私は大きな爆弾の攻撃を受けました。爆弾は暗闇の中で爆発しました。私はその時、私は死んだのです。私の体から魂が抜け出るのを感じました。その後、閃光が放たれました。私は息をしようとしましたが、できませんでした。その後、浮遊する魂は自分自身に戻っていきました。そして、息ができるようになったのです」
この体験は後に、小説「武器よさらば」など彼の著作で活かされました。
【「武器よさらば」での臨死体験的表現】
出典:新潮社
⑴砲弾を受け、生死をさまよう場面
「それから、閃光があった。溶鉱炉の戸が開いた時のあの閃光だ。それから、大音響がとどろき、爆風が起きた。初めは白く、すぐに赤く激しい爆風につつまれた。ぼくは呼吸をしようとしたが、できなかった。ぼくは自分自身が、爆風の中で体から、外へ外へと飛び出し、ずっと風の中で体が浮いていたような感じがした」
と書かれています。
⑵この経験は物理的にはほんの一瞬のできごと
本の中では、詳しく時間の経過が書かれていますが、彼は、
「この体験はほんの一瞬だった」と言っています。その後、彼は「ぼくは気絶してしまった。もう死んだと思った。誰だって息をしていなければ死んでいるのだ。それから、ぼくは再び息ができるようになった。ぼくは生の世界にもどった」
と書いています。
⑦立花隆の著書「臨死体験」
立花隆(たちばな・たかし 1940~)は、日本のジャーナリスト・ノンフィクション作家・評論家です。東京大学フランス文学科を卒業し、文芸春秋に入社しました。プロ野球の取材をさせられ2年後に退社しました。1967年に東京大学哲学科に学士入学しましたが、東大紛争が勃発し休校となりました。その間に、ルポライターとして活動を開始しました。
【著書・臨死体験】
出典:文藝春秋BOOKS
彼の著書、「臨死体験」は、世界中の体験者や医師に取材したノンフィクションです。その本の中で次のような臨死体験の例がありますので、ご紹介致します。
⑴バーバラ・ハリスの最初の臨死体験の例
アメリカ在住の32歳の女性が、脊椎の手術後、急激に悪化し、臨死体験を経験しました。気がつくと病院のホールにいて浮かんでいました。病室にもどると体中にチューブが医療機器につながれて哀れな格好をしている自分自身の姿を見ました。14年前に亡くなった祖母に会い、言葉を交わさなくてもお互いの心が理解し合えました。その後、彼女は蘇生しました。
⑵バーバラ・ハリスの2度目の臨死体験
彼女の2度目の臨死体験では、また体から抜け出しましたが、今度は泡の中に入っていました。立花隆さんが、「泡と言うのは?」と聞くと、「大きなシャボン玉のような泡で、暗闇の中に浮かんでいる数多くの泡の中に赤ちゃんがいました。粟の中にはいろいろな年代の自分自身も見ることができました。
⑶泡の中での神のエネルギー
彼女は泡の中に入って行きました。彼女は無神論者ですが、神のような温かいエネルギーを感じて、人生を再体験することができました。再体験を通じて、なぜそうだったのか、ひとつひとつ納得ができました。
⑷再体験を通じて、全ての人の気持ちが理解できる
彼女は小さい頃、母親から虐待を受けていました。泡の中で再体験をすることによって、母親の苦しみも理解できたのです。
【臨死体験で人生の理解ができる】
臨死体験前は、バーバラ・ハリスは、自分の存在は、肉体だと思っていましたが、本当の自分は意識だけの存在で形はないということを認識しました。臨死体験によって、なぜこの世に生まれてきたのか、いろいろな経験をしたのか理解できました。同時に生きる喜びを感じるようになりました。死にかかっている時に、「生きたい」という気持ちが強くなりました。
【自分自身は、エネルギー体】
彼女は、更に「霊や魂という言葉も本質から外れています」と言っています。霊や魂というと、肉体に宿るような印象を持ってしまいますが、彼女の理解では、エネルギー体が初めにあって、肉体はその中にあるというのが本当なのです。彼女が無神論者であった時に、肉体が滅びれば全てが終わると考えていましたが、実際はそうではないということが分かったのです。
【神の存在】
臨死体験で、バーバラ・ハリスは神の存在を感じたと言っています。立花隆さんは、興味を引かれて、「神さまがエネルギーのようだったというのは、どのような存在だったのですか?」と聞きました。彼女は、「神は人間の形をしていないというだけで、神さまが、具体的にそこにいるというのは、はっきりわかるんです。はっきり感じ取れるんです。存在は感じ取れますが、形がないので、エネルギー体としか言いようがないのです」と言いました。
【立花隆さんの結論】
バーバラ・ハリスの臨死体験から、彼女の人生観は、すっかり変わりました。それ以後の人生も劇的に変わってしまいました。無神論者であった彼女は、宗教感も変わりました。彼女は神を信じるようになりましたが、その神は、全ての宗教を超越した神だと言っています。
立花隆さんは、神という存在は、どの宗教の神が正しくて、どの神が間違っているということはなく、どの宗教も真実を含んでいるというのが正しい見方だと言っています。逆に言うと、どの宗教にも不正確な点はあるし、神や教祖に特定の性格づけをしすぎている宗教には誤りが多いと言っています。
⑧神経科学者が臨死体験で授かった神からの贈り物
臨死体験が、科学的には脳の働きで同じような現象を起こすことができると明らかにしていますが、科学では説明できないことが起きています。
【トニー・チコリア博士の例】
1994年当時42歳の神経科学者のトニー・チコリア博士(Dr.Tony Cicoria)は、ニューヨークのアルバニーという場所で落雷に打たれました。たまたまそばに集中治療室の看護師がいて、蘇生することができました。しかし、記憶に問題が起きました。幸いにも数週間後には回復しました。
【急に音楽の才能が目覚めました】
それから数日後に突然、ピアノを聞きたくなりました。音楽の才能に目覚め、3カ月もたたないうちに、それまで趣味としても経験がない音楽を作曲し、演奏したりすることができるようになりました。彼は、それから数多くの作曲や演奏をするようになりました。
【蘇生後に現れた後天性サヴァン症候群】
この現象は、「後天性サヴァン症候群」によって生じた才能とみられています。しかし、博士は、そうした突然の変化について、神の働きを否定していません。彼は次のように述べています。
「宗教と神経学の間には少しも矛盾はありません。神がもし人に働きかける時は、神は私たちの脳の神経システムを通じて、潜在的な能力や、神秘的な感情や信念を呼び起こすことができるのです」
最後に
「臨死体験」は、まだすべてが解明されたわけではありません。
しかし、科学的な脳の研究も進んできました。臨床実験も重ねられています。「体外離脱」が本当に起きるのかという問題も臨床結果の検証が行われています。人間の真実の存在は、霊魂と肉体のどちらにあるかという疑問も、今後の研究が進められていく過程で明らかになっていくと思います。
アメリカのコネティカット大学心理学のケネス・リング博士の研究によれば、臨死体験を経験した人々は、それ以前と以後とでは、大きく変容があるとされています。何気ない人生に対する再評価や他者への思いやり、死後の世界への確信、生まれ変わりの肯定、物質主義から精神主義への転換などの他に、サイキック現象(ヒーリング、予知、テレパシー、透視)などの能力に目覚めることなども知られています。
なぜそういう現象が起きるのか、人間の生と死の間には、物質世界の常識の壁を越える何かが存在しているようです。
以上、最後までご覧いただき、有難うございました。