「アヴェ・マリア」という言葉の意味を知りたい方へ。
クラシック音楽に詳しい方であれば、「アヴェ・マリア」という言葉を聞いて、シューベルトやカッチーニの格調高い曲を思い浮かべる方が多いかもしれません。この「アヴェ・マリア」という言葉は、一体どういう意味なのでしょうか。聖母マリアの人物像と合わせて、一緒に見ていきましょう。
本記事では、「アヴェ・マリア」という言葉の意味を分かりやすく解説します。アヴェ・マリアを聞きながらお読みください。
①「アヴェ・マリア」の意味は「おめでとう、マリア様」
「アヴェ・マリア」とは聖母マリアをたたえる言葉です。 「アヴェ・マリア(Ave Maria)」はラテン語で、日本語に訳すると「おめでとう、マリア様」「こんにちは、マリア様」となります。
聖母マリアがイエス・キリストを身ごもった時に、そのことを知らせるために現れた大天使ガブリエルが、彼女にかけた言葉からきているといわれています。「アヴェ・マリア」と題された音楽の多くは、この受胎告知の場面、あるいは寿命が尽きて天に召される「被昇天」の場面をモチーフにしています。
②「アヴェ・マリア」の歌詞にはラテン語の祈祷文が用いられる
「アヴェ・マリア」と題される曲の歌詞は、一般的に、以下のラテン語の文章が使われます。カトリックでは元々、「ラテン語で書かれた聖書こそが本当の聖書であり、別の言語で書かれた聖書は解説書に過ぎない」という考え方があるため、祈祷文にはラテン語を用いることが多いのです。
(ラテン語)
Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.
Amen.(日本語訳)
アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたと共にいらっしゃいます。
あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
聖母マリア、
わたしたち罪人のために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。
カトリックや東方正教会では、聖母マリアや聖人などへの信仰があつく、特に聖母マリアは女性信者からの人気が高かったといいます。無垢で母性に溢れた人物像が、女性・母親の模範と考えられたためでしょうか。
なお、聖書の記述や教義そのものを重視するプロテスタントでは、聖母マリアを特別に神聖視することはありません。
③イエスの父はヨセフではない
「アヴェ・マリア」の祈祷文に出てくる「あなたは女のうちで祝福され」というのは、一体どういう意味でしょうか。
キリスト教において、人間は生まれながらに罪(原罪)を背負っているとされています。人類最初の女性・エヴァが蛇にそそのかされ、食べることを禁じられていた知恵の実を食べてしまったため、アダムとエヴァはエデンの園を追放されることとなったというエピソードを、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
⑥聖母マリアは出産の苦しみを味わうことがなかった
エデンの園にいた頃のアダムとエヴァは、あくせく働かなくても、食べ物をいくらでも手に入れることができました。
ですが楽園を追い出された後、男性は日々の食糧を得る為に土を耕して働かなくてはならなくなり、女性は出産の苦しみを味わうことになってしまったのです。
しかし、聖母マリアはイエスを産む時、苦痛を味わうことがなかったといわれています。先ほど出た「女のうちで祝福され」という一文は、彼女が原罪(出産の苦しみ)から解放されていたということを表現しているのでしょう。
⑦聖書を理解すると西洋文化の理解が深まる
西洋の文化はキリスト教の影響を強く受けており、聖書の場面を題材にしている音楽、彫刻、絵画はたくさんあります。西洋文化の歴史はキリスト教と共にあったといっても過言ではないでしょう。
聖書やキリスト教についての知識を深めることで、「アヴェ・マリア」などの作品をより深く理解することができます。
そして、芸術作品の理解を深めることは、人生を豊かにすることにも繋がるのではないでしょうか。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。「アヴェ・マリア」という言葉やキリスト教の世界観、聖母マリアについての理解は深まったでしょうか。処女懐胎というのは生物学的にあり得ないでしょうが、出産の痛みや苦しみを味わわなくてもいいというのは、少し羨ましい気がしますね。
「アヴェ・マリアとは何か?その意味を分かりやすく解説します」の要点は
- ①「アヴェ・マリア」の意味は「おめでとう、マリア様」
- ②「アヴェ・マリア」の歌詞にはラテン語の祈祷文が用いられる
- ③イエスの父はヨセフではない
- ④神の子を産んだ女性の話は世界中にある
- ⑤人間は生まれながらに罪を背負っている
- ⑥聖母マリアは出産の苦しみを味わうことがなかった
- ⑦聖書を理解すると西洋文化の理解が深まる
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。