「職業召命観(しょくぎょうしょうめいかん)」という言葉の意味を知りたい方へ。
「職業召命観」とは神から天職を授かって使命を果たせるという考え方です。「天職」という言葉を聞いた時に、どんな気持ちになるでしょうか。ワクワクしながら仕事ができて幸せそう、生き甲斐があって羨ましい……。キリスト教プロテスタントの「天職」に関する一つの考え方である職業召命観。「天職」とは一体どんなものでしょう?そして天職に就くことで、一体どんな変化があるのでしょう?
本記事では、「天職」についての一つの考え方、「職業召命観」についてご紹介いたします。
①「職業召命観」とは神から天職を授かって使命を果たせるという考え方
「職業召命観」という言葉を聞いたことがなくても、「天職」という言葉なら聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。アーティストやスポーツ選手、伝統芸能の職人などが、「この仕事は私の天職です」と言うのを聞いて羨ましく思ったことがある人も多いでしょう。もしかすると、すでに天職に就いている人もいるかもしれませんね。
・人は天職に就くことで世界や神に奉仕できる
この「天職」という言葉は、プロテスタントの「職業召命観」という概念と密接に関わっています。人は、天職に就くことで神やこの世界に奉仕し、使命を果たすことができるのです。
よって、「職業召命観」とは神から天職を授かって使命を果たせるという考え方と言えます。
②「召命」とは神の啓示を受けること
「職業召命観」の「召命」という言葉は、神の啓示を受けて救いを与えられるという意味です。カトリックでは、主に司祭や修道者などが伝道の使命を授かることを「召命」と呼んでいました。
・キリスト教徒は皆、天職や使命を与えられる
ですがプロテスタントでは、宗教者が授かった使命のみを特別視するのではなく、社会で世俗の仕事をしている人でも、キリスト教徒ならば全員がふさわしい天職や使命を与えられると考えました。そして、天職に就いてきちんと務めを果たすことで、世界ひいては神に貢献できると考えたのです。
③職業召命観は資本主義を発展させた
聖職者のみを特別視することをやめ、世俗の仕事をすることで神に貢献できるという「職業召命観」の考え方は、人々に社会の中で働く喜びをもたらし、資本主義を発展させたといわれています。もちろん、行き過ぎた拝金主義などの弊害も多いのですが、今日、人々が豊かな生活を送るための礎になったことは間違いないでしょう。
④天職の鍵はあなたが夢中になれること
では、どうすれば自分の天職や使命を見つけ出すことができるのでしょうか?その答えは、あなたが夢中になれることの中に隠れています。
・理屈抜きに夢中になれるものは天職に繋がっている
ただの趣味でも構いませんから、あなたが時間を忘れて没頭できることはないでしょうか?現時点では素人より多少詳しいだけ、というものでも構いません。あなたが理屈抜きに夢中になれることは、あなたの天職に繋がっています。
⑤断念した趣味にも天職の可能性がある
「夢中になれること」は、かつて断念してしまった趣味でも構いません。子供の頃楽器を習っていたけど途中でやめてしまった、スポーツをしていたけど諦めてしまった、ということでも、天職に繋がっている可能性はあるのです。
・演奏者ではなくても指導者としての適性はあるかもしれない
演奏者や選手としての適性はなくても、人に物を教える立場には向いている、ということはままあります。むしろ、生まれつきの天才タイプよりも天才ではない人の方が、人に教えることが上手いものです。
・あらゆる趣味には天職の可能性が隠れている
物事を分析したり言語化する能力に秀でていたり、人のいいところを見つけ出すのが得意という人もいます。あらゆる趣味には、天職の可能性が隠れているのです。
⑥努力が苦にならないことは天職に繋がっている
また、あなたが簡単に上達できること、努力が苦にならないことも、天職に繋がっているかもしれません。
・「やりたくないことを我慢する=努力」ではない
「努力」というとどうしても「やりたくないこと我慢してする」というイメージで捉えられがちですが、天職に就いた人は、そもそも努力を努力だと認識していない場合があります。将棋のプロ選手や数学の学者などは、努力して勝ち方や数式を考えているという意識は希薄でしょう。将棋のことや数式を考えるということ自体が、楽しいことなのだと思います。
・自分にとっては当たり前でも、他人から見るとすごいことかもしれない
また、自分にとっては大したことがないことでも、他人から見るとすごいことも世の中にはあります。たとえば、普段料理など一切しない・できない人から見ると、料理やお菓子作りというのは立派なスキルです。こういった天職の種は、あなたにも眠っているのではないでしょうか。
⑦天職が見つからない場合、自分の本音を聞く練習をする
もし、天職や夢中になれることが見つからない場合、自分の心の声が聞こえなくなっているのかもしれません。世の中の常識や「周りの皆がしているから」という考え方で行動していると、自分の心の声が聞こえにくくなります。
・我慢が習慣になると自分の心の声が聞こえない
自分の本音が分からなくなっている場合、少しずつ、本音を聞く練習をしましょう。コンビニやスーパーに行った時など、「本当はこのお菓子を食べたいけど、高いから我慢しよう」と考えたことはないでしょうか?
・自分の小さなわがままを許容すると心の声が聞こえてくる
そういう場合、自分の本音を無視せずに、なるべく自分の本音に従って、買いたい物を買うようにして下さい。自分の本音に従う習慣を付けると、だんだん自分の心の声が聞こえてくるようになります。
⑧天職に就くと世の中に貢献できる
天職に就くと、自分の喜びがそのまま世の中の人の喜びとなります。そして、世の中に貢献すればするほど、様々な恩恵があることでしょう。
・まずは休日の趣味からスタートしてみよう
いきなり別の職業に転職するのはリスクが高いですが、休日に趣味のサークルに参加したり、これという趣味について友人知人に話すぐらいなら簡単にできます。将来こういう仕事をしたいという希望を色々な人に話してみると、意外なところから話が舞い込んでくるかもしれませんよ。
・天職について考えるだけでもきっかけになる
現在、天職に就いている人はもちろんのこと、天職に就いていない人も、「自分の天職は何だろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。
最後に
ここまでの長文をお読み頂き、有難うございます。
「職業召命説」という考え方について、少しでも理解を深めることができたでしょうか?天職に就くことで社会に貢献できたら、きっと幸せですよね。どんな人にでもある天職について、あなたも考えを巡らせてみてはいかがでしょうか?
キリスト教の職業召命観の要点は
- ①「職業召命観」とは神から天職を授かって使命を果たせるという考え方
- ②「召命」とは神の啓示を受けること
- ③職業召命観は資本主義を発展させた
- ④天職の鍵はあなたが夢中になれること
- ⑤断念した趣味にも天職の可能性がある
- ⑥努力が苦にならないことは天職に繋がっている
- ⑦天職が見つからない場合、自分の本音を聞く練習をする
- ⑧天職に就くと世の中に貢献できる
ということでした。
以上、最後までご覧頂き、有難うございました。